ありふれた暮らしだった。ただ、優しさを知らぬ男だった。二人の人間が様々な遠回りをしてやっとたどり着いた、至福の時間、魂の愛・・・そんなものを分かち合える人がいる。悲しみの大きさだけ、これから二人で作り出す喜びの大きさがあるのだと思う。
ゆきとの時間には何ものにも変えられないやすらぎがある。日々の生活に驚きと発見と魂の覚醒がある。やっと出会えた人生のパートナー・・・同じ瞬間に同じものを見て、喜びや感動を分かち合える人、100%の自分自身の表現を共有できる誰かがいるというのは、人生において本当に幸せだ。
人との出会いは、いろんなかたちがあると思う。人生の様々な場面で出会う何とも妙な縁を感じる人たち・・・
日々の生活で、二人のコミュニケーションが互いを劇的に変える。偶然とは思えない何とも不思議な出来事や、何か以前に見たおぼえのある心にしっくりとはまる感覚・・・人はきっと、大切な出会いの数だけ変わっていくのだと思う。そして、幸せになっていくのだと思う。
人生を共にする片割れがいる。この世で出会って人生を共にする大切な運命の人・・・自分のすべてを開け放ち、心を通わせて生活を共にする人というのは、どれだけ自分自身の人生の良し悪しを左右するのであろうか?
世間で目にする心の通わぬ二人というのは、人生の悲劇のように思う。二人で創り出すことの出来ない本質的な何かを求めて、心が外へ向く。満たされぬ心の内を別の何かで埋めぬわけにはいかないのだろう。
何でもわかる不思議な人に見てもらったら、「二人は、前世の約束で出会った・・・」と言われた。かつて、いろんな都合で思いがかなわず、離れ離れになってしまった二人・・・
何とも不思議な話であるが、今までにない二人の関係の急展開、前世の話を彷彿とさせる現在の僕のまわりの人間関係を考えると、そんなこともあるのかなーっと妙に納得する。