世の中というのは、自分自身を映す鏡のようなものです。神道の三種の神器のひとつである伊勢神宮のやたの鏡は、まさにそのことを表しています。世の中の理(ことわり)を表しているのです。世の中が鏡であればこそ、そこに本当の自分というものが映るのです。それを心の目で見ることによって、自分自身に気づき、心を改めることができるのです。これが、日本神道の八百万の神の思想です。それに気づくとき、人はすべてのものに感謝する心が生まれ、そこに大いなる神さまの意思を発見し、心の中に神さまが宿るのです。心の中に、自分の神さまが生まれるのです。つまり、日本人というのは、心の奥に神性を持った民族と言えます。
それは、現代社会が、物質文明であり、知識と先端科学によって世の中が動かされると信じる現代人の中にあって、非常に稀な人たちであると言えます。稀であるからこそ心の神性を信じ、世界を変える力として、魂が目覚めるときを望まれるのです。世界を変えるというのは、何も地球上から戦争を無くすということではありません。私たちは、隣にいる大切な人の心に、小さな心の灯をともすことができるのです。実は、それがすべてのはじまりです。そういうものが積み重なって、やがて世界の流れが変わっていくのです。
「世界を変える」というのは、本当は、人の心に灯をともす事以外の何ものでもありません。
灯り
暗闇を手探りで何かを探していた
遠くにかすかな灯りがみえる
近づくにつれ 僕の心にほのかな灯りがともった
まわりを見渡すと暗闇に無数の心があったことに気づく
ほのかな灯りがまわりを照らし ひとつの心が息を吹き返す
灯りの連鎖がいつの間にか大地いっぱいに広がって
あたりは灯りにつつまれた
ずっと変わらず 楽園がここにあったことを知る
(おわり)